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テレビのボリュームが大きくなりだしたうちの父のことを少しでも理解しようと、高齢者が聞こえにくい音について調べたことをわかりやすく簡単にまとめました。
基本的に耳鼻科の医師が発信してる情報がベースになっています。
耳が遠くなってきた高齢者とのコミュニケーションに役立ててもらえるとうれしいです。
では早速、高齢者が聞こえにくい音について解説していきます。
高齢者が聞こえにくい音
一般的に高齢になって耳が遠くなってくることを「老人性難聴」といいます。
老人性難聴は
- 軽度
- 中等度
- 高度
- 重度
4段階にわかれ、程度が重くなるほど聞こえにくい音の範囲が高い音から低い音へと広がっていくのが特徴です。
軽度
小さな声が聞きとりにくいが、普通の会話にほとんど不自由しない
- 鳥のさえずり
- 小雨の音
- 水が流れる音
- 葉と葉がこすれあう音
中等度
日常会話が聞きとりにくい。テレビのボリュームが大きくなる。
- 普通のでボリュームでの会話(あとで詳しく解説します)
- 犬の鳴き声
- 玄関チャイムの音
- お風呂のお湯がたまったときの通知音
- 体温計の音
高度
大きな声でも聞きとりにくい
- 大声
- トラックが走る音
- ピアノの音
- セミの声
- 電話の着信音
重度
耳元の大きな声も聞きとりにくい
- 工事・建設現場の音
- ジェット機が飛ぶ音
- 車のクラクション
ここまで老人性難聴の人が聞こえにくい音を紹介してきました。
次は聞こえにくい音の中でも「会話」に絞って解説していきます。
会話の中に聞きとりにくい音がある
老人性難聴の中等度になると、相手が普通のボリュームで話していても聞き取りにくくなってきます。
音としては聞こえてるけど、なんと言ってるのかがわからない状態です。
聞きとりにくい「子音」
原因は「子音(しいん)」が聞きとりにくいことにあります。
この「子音」という聞き慣れない言葉をきっかけに難しい話に突入しそうな気配を感じたかもしれませんが大丈夫。
わかりやすく解説していくのでお付き合いください。
「子音」とは
いきなりですが小学生のときに習ったローマ字「ABCDEFG・・・」ってやつを思い出してください。
そのローマ字をつかって五十音の「あ行」を書くとこうなります。
この5つの音は「母音(ぼいん)」と呼ばれています。
なんのこっちゃ、な話ですけどもう少しお付き合いください。
「あ行」は「a i u e o」とローマ字1文字ですが、それ以外はローマ字2文字になります。
例えば「か行」なら
き→ki
く→ku
け→ke
こ→ko
「さ行」なら
し→si
す→su
せ→se
そ→so
こんな感じです。
このローマ字の2文字目がさっき説明した母音で、その左にある1文字目が、老人性難聴の人には聞きとりにくい子音です。こいつです。
「そ(so)」の場合、「s」が子音で「o」が母音
説明がヘタですいません!努力はしたのですがこれが限界です。
なんとなくわかるくらいでオッケーなので、もう少しお付き合いお願いします&話を戻します。
老人性難聴の場合、この子音、特に言葉の1文字目の子音が聞きとりにくいことが原因で聞き間違いが発生します。
例えばこんな感じです。
「一時(ichiji)」と「七時(sichiji)」
「拍手(hakushu)」と「握手(akushu)」
聞き間違いが発生した場合は、伝わるまで繰り返すのではなく、言葉を言い換えてみましょう。
聞き取りにくそうなら言い換える
上で紹介したように聴き間違えられる場合は、相手が聞き取ってくれるまで同じ言葉を繰り返すのではなく、言い換えると聞き取ってもらえる可能性が高くなります。
→名字だけじゃなくフルネームで
一時→じゅうさんじ、ひるのいちじ
七時→ななじ、じゅうくじ
拍手→てをたたく
握手→てをにぎる
こんな感じです。
ここまで会話の中にある聞こえにくい音と対処法を紹介してきました。
次は、老人性難聴の方に広く対応できるような一般的なコミュニケーション方法を紹介していきます。
特徴をふまえたコミュニケーションの方法
老人性難聴の特徴をふまえたコミュニケーションの方法を紹介していきます。
- 大きけりゃいいってもんじゃない
- 低い声で話す
- なるべく静かなところで話す
- 内容は相手にわかりやすくなるよう工夫する
- まずはこちらに注意を向ける
ひとつずつ解説していきますね。
大きけりゃいいってもんじゃない
テレビを見てると耳が遠い人に手をそえて大きな声で話してるシーンをよく見ますが、マネしないでください。
難聴のレベルによっては、音は聞こえてるけど言葉を理解できないという場合があります。
そういう人の耳元で大きな声で話しても、音だけが大きく響いたり、二重に聞こえたりで何を言ってるかわからなくなってしまいます。
大きな声に頼るよりも、まずは聞きとりやすいよう区切りながら、そしてあなたの表情、特に口元を見せながらゆっくり話したほうがより伝わるはずです。
低い声で話す
さきほど話したとおり、老人性難聴は高い音から聞こえにくくなってきます。
女性や子供の声は比較的高めなので、ふつうに話して聞こえづらそうだったら、声を少し低くして話してみてください。
ちなみに、耳が遠いはずの人が話し声は聞こえにくそうにするのにヒソヒソ話はしっかり聞こえる、みたいな描写がドラマなんかでありますよね。
あれって、割と正しくて、ヒソヒソ話は普段より声を低くして話すから高音が聞こえにくい老人性難聴の人には聞こえやすいってのがあるようです。
なるべく静かなところで話す
人が多い場所、雑音のある場所を避け、テレビは消して聞こえやすい環境を整えてから話すようにしてください。
老人性難聴の人にとって、余計な話し声や雑音の中で話しても、すべてがまとまって聞こえてしまい、あなたの話し声のみを拾うのはとても難しいことです。
内容は相手にわかりやすくなるよう工夫する
老人性難聴は音が聞こえにくくなるだけじゃなく、言葉を聞き取る能力が低下して、何を話してるのかわからないという特徴もみられます。
何度も聞き返される場合は、同じ内容を繰り返し話すのではなく、できるだけ話の内容を簡略化するように工夫してください。
まずはこちらに注意を向ける
ボーッとしてるときにいきなり話しかけられても、最初の部分を聞き取ることができずに内容がよくわからないってこと、ありますよね。
まずは肩をトントンと軽く叩く、正面にまわるなどして、これから話をするんだな、と理解してもらい、聞く準備をしてもらってから話すようにしましょう。
医師の話によると、難聴で困っていると訴える患者さんと医師が、診察室ではふつうに会話ができるという不思議なことがあるようです。
実はこれ、不思議でもなんでもなく、診察室は雑音が少なく、医師と1対1で向かい合って話すという状況が、老人性難聴の人にとって自然と言葉を聞きとりやすい環境を作り上げていたというお話です。
静かな環境で、聞く準備を整えてもらうことの重要さがよくわかるエピソードですよね。
コミュニケーションの方法をまとめるとこうなります。
次は、今さらですけど老人性難聴について簡単に解説します。
老人性難聴とは
今さらですけど、ここで老人性難聴について簡単に解説させていただきます。
老人性難聴とは加齢以外に原因がみあたらない「耳が遠い」状態のことをいいます。
「耳が遠くなる」という言葉のイメージから、なんとなくすべての音が均等に聞こえにくくなってると思いがちですが、老人性難聴は「音」が聞こえにくくなるだけじゃなく、「言葉」の聞き取り能力が低下するという特徴があります。
例えば、目覚まし時計のアラーム音や車のクラクションは聞こえるけど、会話をうまく聞き取れないといった感じです。
その他の特徴としてはこういうのがあります。
- 高い音から聞こえにくくなり、老人性難聴が進行していくと聞こえにくい音が低い音にまで広がっていく。
- 右だけ、左だけではなく、両耳が同じように聞こえにくくなる
- 男性の方が聴力の低下が大きい
- 音そのものは聞こえるが、言葉が聞きとりにくい
- 雑音の中や、いろんな話し声が聞こえる環境で必要な声だけを拾うことができない
- 早口でしゃべられると、音として聞こえているけど言葉として聞き取ることができない
そんな老人性難聴ですがどうやって治療するんでしょうか。
老人性難聴に治療法はない
老人性難聴は病気というよりも「老化現象」なので根本的な治療法は現在ありません。
一般的には健康的に過ごして、少しでも難聴の進行させないようにするという、かなりフワッとしたアプローチになります。
具体的には
- 適度な運動
- バランスのよい食事
- 規則正しい睡眠
- 大きな音でテレビを見ない
これら以外にビタミンの摂取も有効と考えられています。
食事だけで十分な量のビタミンを摂取するのは難しいと思うので、サプリから摂取することも考えてみてください。
血流をよくする『ビタミンE』
多く含まれる食品:アーモンド、ほうれん草、ブロッコリーなど
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血をつくる『葉酸』
多く含まれる食品:ほうれん草、グリーンアスパラガス、春菊など
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老化防止に『ビタミンC』
多く含まれる食品:赤ピーマン、黃ピーマン、ブロッコリーなど
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生活リズムを整える『メラトニン』
多く含まれる食品:牛乳、バナナ、鶏むね肉など
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神経機能の維持に『ビタミンB12』
多く含まれる食品:牛レバー、しじみ、あさりなど
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「健康的な生活」と「ビタミン」と言われた時点で、本当に治療法が無いということを実感してもらえたと思います。
そんな治療法がない老人性難聴は認知症への入り口になり危険性があります。
老人性難聴と認知症
一見関係無さそうですが、老人性難聴は認知症への入り口になってしまう危険性があります。
認知症科学において最も影響力のあるアルツハイマー病学会国際会議(AAIC)で「認知症に関する12のリスク要因を回避することで認知症の発症を遅らせたり、予防できる」という報告がありました。
その「12のリスク」の中に難聴が入っています。
難聴がもとで認知症になる流れとしては2つのパターンが考えられます。
- 難聴になる
- 聞こえにくいことで脳に伝えられる情報が少なくなる
- 脳が萎縮・神経細胞が衰える
- 認知症発症
- 難聴になる
- コミュニケーションがうまくとれない
- 人との関わりを避けるようになる
- 孤立することでうつ病に
- うつ病から認知症に移行
この2つに共通して言えることは、脳への刺激が少なくなることで難聴は進行、聞き取り能力も低下していき、その先に認知症を発症する可能性があるということです。
そうならないためにも、聞こえにくくなったあとも、耳から音を入れて脳を刺激しつづけることで認知症発症のリスクを下げることができるはずです。
次は認知症発症のリスクを下げるのに効果があると考えられている補聴器についてです。
聞こえを助ける補聴器
補聴器とは聞こえを助けてくれる医療機器。コミュニケーションがスムーズになります。
「高い」「年寄りくさくてイヤだ」と敬遠されがちですが、補聴器をつかうことで上で紹介した認知症発症のリスクを下げたり、家族や仲間とのコミュニケーションもスムーズになる大きなメリットがあります。
補聴器についてわからないことが多いと思うので簡単に解説します。
まずは医師に診断してもらいましょう
耳が聞こえにくいといっても、原因はいろいろあります。難聴だと決めつけずに、まずは耳鼻科でいろんな検査を受け、補聴器が有効かどうか医師に診断してもらいましょう。
補聴器の購入
補聴器の専門家がいる「認定補聴器専門店」や、診察から補聴器購入までできる「補聴器外来」がおすすめです。
補聴器の調整やメンテナンスで何度も訪れることになると思うのでなるべく通いやすい場所を選びましょう。
ちなみに、高価な補聴器を買ったけど効果が感じられずそのへんにポイと放置されてるという話がよくありますが、それは適切な調整がされてないせいです。
同じ補聴器でも調整する専門家によって便利な道具になったりゴミになったりする現実があるのでどこで購入するかはしっかり考えましょう。
すぐに「聞こえ」が改善されるわけではない
補聴器をつければすぐに聞こえが改善されるわけではなく、トレーニングが必要です。
耳は脳に音を伝えるのが仕事で、実際に音を聞いてるのは脳です。
難聴になると脳が聞こえにくい状態に慣れていまい、なまってる状態なので、補聴器をつかって脳に音を伝え、脳を以前の状態になるよう鍛える必要があるんです。
このトレーニングには2〜3ヶ月ほどかかります。
最初は不快感がありますが、トレーニングすることで家族や友人とのスムーズなコミュニケーションを取り戻すことができます。
補聴器以外の便利グッズ
補聴器ほど本格的なもの以外にも、老人性難聴の人の生活が変わる便利グッズがあります。
- テレビの音を聞こえやすい音に変換するテレビスピーカー(父が使用しています。レビューはこちら)
- 近くに置いてつかうテレビ用手元スピーカー
- 鎖骨から音が聞こえてくるネックスピーカー
といった家電製品や
- 電話相手の声がしっかり聞こえる電話の拡声器
- 来客を光って知らせるインターホン
- 電話がかかってきたのを光って知らせるフラッシュベル
などの便利グッズや
- 今すぐできるテレビの設定
- 聞こえにくくても着信を逃さないスマホの設定
- 話し声を文字に変換してくれるスマホアプリ
などなど、きっと役立つものを定番、マイナー、ジャンル関係なく集めた記事を書いたのでよかったら参考にしてください。