> 耳が遠い人(老人性難聴)に骨伝導が有効ではないたった1つの理由

耳が遠い高齢者に骨伝導が有効ではないたった1つの理由
耳が遠い高齢者に骨伝導は有効ではありません。その理由と、耳が遠い高齢者でも効果を期待できる方法を紹介。聞こえの問題が一歩前進します。

奥田 慎一
耳が遠い父の「テレビ音量問題」を解決した経験と、専門家が発信する情報を基にあなたの疑問を解消します。

耳が遠い高齢者に骨伝導は有効ではない

耳が遠い 高齢者 骨伝導 効果なし

耳が遠い高齢者に骨伝導は有効ではありません1

理由をざっくり説明すると以下のようになります。

  1. 難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類がある
  2. 耳が遠い状態は「感音難聴」にあてはまる
  3. 感音難聴」に骨伝導は有効ではない

ひとつずつ見ていきましょう。

ぱっと見、わかりにくいので「伝音難聴」「感音難聴」のように色分けしてすすめていきます。

難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類ある

難聴 種類 伝音難聴 感音難聴

骨伝導の効果について理解しやすいように、まずは簡単に「聞こえの仕組み」について説明します。

ポイント
  1. 耳は働きによって2つの部分にわかれる
  2. 難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類がある
難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類ある

聞こえの仕組み

「耳」というと見えてる部分だけをイメージしますが、実際は、それぞれの働きによって大きく2つの部分にわけられます

聞こえ 仕組み 伝音系 感音系
  1. 音を集めて伝える「伝音系」
  2. 受け取った音を脳に伝える「感音系」
難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類ある

難聴は2種類ある

難聴とは、聞こえにくい状態のことをいいます2

ここでは、「難聴は大きくわけて2種類ある」ということを知ってもらえればオッケーです。

さきほど紹介した

  1. 音を集めて伝える「伝音系」
  2. 受け取った音を脳に伝える「感音系」

このうち、問題のある場所によって以下の2種類にわかれます3

  1. 伝音難聴 ― 音を集めて伝える部分に問題がある
  2. 感音難聴 ― 受け取った音を脳に伝える部分に問題がある
難聴 種類 伝音難聴 感音難聴
難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類ある

1.伝音難聴

難聴 種類 伝音難聴
伝音難聴の特徴4
  • 伝音系が正常に機能しなくなり音が伝わりにくくなる
  • 中耳炎や滲出性中耳炎など中耳の疾患でみられる
  • 音を大きくすれば聞こえるので補聴器で聞こえが改善される
  • 手術や治療で聴力が回復する可能性がある
難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類ある

2.感音難聴

難聴 種類 感音難聴
感音難聴の特徴5
  • 感音系に問題がある場合に起こる
  • 高い音が聞こえにくい
  • 複数の音のなかから必要な音を聞き分けられない
  • 老化により聴力が低下する老人性難聴や、メニエール病などの病気でみられる
  • 治療によっての回復がむずかしい
難聴には「伝音難聴」と「感音難聴」の2種類ある

伝音難聴」と「感音難聴」の違い


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スマホの方へ丨表は横にスクロールできます
 問題のある場所特徴
伝音難聴音を集めて伝える「伝音系」・外耳や中耳が正常に機能しなくなり音が伝わりにくくなる
・中耳炎や滲出性中耳炎など中耳の疾患でみられる
・音を大きくすれば聞こえるので補聴器で聞こえが改善される
・手術や治療で聴力が回復する可能性がある
感音難聴受け取った音を脳に伝える「感音系」・内耳やそれより奥の神経に問題がある場合に起こる
・高い音が聞こえにくい
・複数の音のなかから必要な音を聞き分けられない
・老化により聴力が低下する老人性難聴や、メニエール病などの病気でみられる
・治療によっての回復がむずかしい

参考:難聴丨いぶき耳鼻咽喉科

耳が遠い状態は「感音難聴」にあてはまる

老人性難聴 耳が遠い 感音難聴

高齢者の「耳が遠い」という状態は、基本的に「感音難聴」にあてはまります6

「感音難聴」に骨伝導は有効ではない

耳が遠い 骨伝導 効果

感音難聴に骨伝導が有効ではない」理由を解説する前に、「そもそも骨伝導とは」について簡単に解説します。

ポイント
  1. 骨伝導とは、骨を振動させて音を聞く
  2. 音を受け取る部分に問題がある場合は効果を期待できない
  3. 骨伝導以外の選択肢
「感音難聴」に骨伝導は有効ではない

そもそも骨伝導とは

骨伝導とは、「耳の穴」や「鼓膜」の伝音系ではなく、骨を振動させて音を聞くことです7

通常、私たちは以下の画像のように、音の振動が耳の穴を通って鼓膜を振動させ、耳の奥にある内耳で感じています8

聞こえ 仕組み 気導

骨伝導は、耳の穴も鼓膜も使いません

骨伝導 聞こえ方

耳の近くの顔や頭の骨を振動させることで内耳に直接音を届ける。これが骨伝導です。

「感音難聴」に骨伝導は有効ではない

「通常の聞こえ方」と「骨伝導」の違い


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通常の音の伝わり方空気の振動が鼓膜を振動させる
骨伝導の音の伝わり方頭や顔の骨を振動させる
「通常の聞こえ方」と「骨伝導」の違い

骨伝導を体験しよう

イメージしにくいと思うので、骨伝導を体験してみましょう。

やり方は簡単。

  1. 耳をふさいでください
  2. そのままの状態で話してください
骨伝導 体験

耳をふさいでるので聞こえるはずがない自分の声が聞こえますよね。

これが骨伝導(「骨導」ともいいます)です。

さきほど説明とおり、声が頭や顔の骨を振動させて内耳に届くことで聞こえています9

骨伝導イヤホンや、補聴器にはこの原理が使われています。

「感音難聴」に骨伝導は有効ではない

感音難聴に骨伝導が有効ではない理由

耳が遠い人は基本的に「感音難聴」です。

感音難聴は、受け取った音を脳に伝える「感音系」に問題がある病気です。

感音難聴

骨伝導で骨を振動させて直接音が届けられたとしても、受け取る側の感音系に問題があるのでうまく音を感じることができません。

「感音難聴」に骨伝導は効果がない

耳が遠い人の役に立つアイテムやサービス

耳が遠い 便利

感音難聴」にあたる耳が遠い高齢者の場合は、骨伝導ではなく、一般的な補聴器を検討することになります10

補聴器の他にも、

  1. 対話をスムーズにする「コミューン」
  2. 小さな音量でも言葉が聞きとれるテレビ用スピーカー「ミライスピーカー」
  3. 音を大きくする「集音器」

など、耳が遠い人に役立つだけじゃなく、家族の不安を解消するアイテムやサービスがあります。

詳しくは「親の耳が遠くなった|解決策「会話編」「テレビ編」」で紹介してるのでご覧ください。

骨伝導が有効なのは「伝音難聴」

伝音難聴 骨伝導 効果

骨伝導が有効なのは、感音難聴ではなく、「伝音難聴」の場合です。

骨伝導が有効なのは「伝音難聴」

伝音難聴」に骨伝導が有効な理由

伝音難聴とは、音を集めて伝える「伝音系」に問題があって聞こえにくくなる病気です11

骨伝導をつかうことで問題のある伝音系をつかわず、頭や顔の骨を振動させる別ルートをつかって直接感音系に音を届けることができます。

伝音難聴 骨伝導 効果

まとめ

「耳が遠い高齢者に骨伝導は効果があるのか」をテーマに解説しました。

まとめるとこのようになります。

  1. 難聴には「感音難聴」と「伝音難聴」の2種類がある
  2. 耳が遠いのは、音を受け取り脳に伝える「感音系」に問題がある「感音難聴」にあたるので効果は期待できない
  3. 骨伝導は、音を集めて伝える「伝音系」に問題がある「伝音難聴」の人がつかうと効果を発揮する

脚注 ― 参考にさせていただいたページ

  1. 骨伝導補聴器丨シニアのあんしん相談室
  2. 難聴について丨日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
  3. 難聴が日常生活に支障を及ぼしていませんか?|製鉄記念八幡病院
  4. 難聴|いぶき耳鼻咽喉科
  5. 難聴|いぶき耳鼻咽喉科
  6. 老人性難聴の仕組み|わたなべ耳鼻咽喉科
  7. 骨伝導スピーカーの技術と特性解析
  8. 有毛細胞(ゆうもうさいぼう)丨e-ヘルスネット
  9. 骨伝導スピーカーの技術と特性解析
  10. 骨伝導補聴器丨シニアのあんしん相談室
  11. 難聴について|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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